本書はマイクロソフト社のプログラマーである、牛尾 剛氏の視点で業務パフォーマンスを向上させる方法を紹介しています。エンジニアという技術職の立場で書かれていますが、他業種にも応用可能な仕事術です。
業務パフォーマンスを向上させることで、仕事の効率がUPし、より生産性を高められます。紹介されている思考法が習慣化すると、ビジネスマンとしてスキルアップすること間違いないです。
僕はWeb系の仕事なので親和性がめちゃくちゃ高いです。
「世界一流エンジニアの思考法」の書籍情報
- 天才エンジニアでなくても実践可能な思考法
- 具体的な実例付きでイメージしやすい
- 他業種でも応用できる
- 作業者思考の人には理解が困難
- 国民性が染み付いていると思考の改善に時間がかかる
米マイクロソフトAzure Functionsプロダクトチームのシニアソフトウェアエンジニア。関西大学卒業後、大手SIerでITエンジニアを経験。2015年、米国マイクロソフトに入社し、エバンジェリストとしての活躍を経て、2019年より米国本社でAzure Functionsの開発に従事。ソフトウェア開発に関するnoteも人気。
その他著書:「ITエンジニアのゼロから始める英語勉強法」
「世界一流エンジニアの思考法」を読んだキッカケ
本書の存在を知ったのは、X(旧Twitter)のエンジニア界隈で話題になっていたからです。普段から気になるエンジニアの発信をみているのですが、複数の方が本書をおすすめしていました。
思考法は仕事全般に活かせるので、勤務先でWebディレクターをしている僕の立場にマッチすると思いました。他の人のレビューを読み漁ることもなく、すぐにAmazonで注文しました。
仕事において思考法が重要な理由
- 同じ人間でもスキルに差があるのは思考法が原因
- 思考法を身に付けていれば頭の中がシンプルになる
- 余計なリソースを使わないので業務効率が上がる
本書では、仕事において重要な思考法について紹介されています。
同じ人間なのにスキルに差があるのは、思考法が異なるからです。ということは、トップレベルの思考法を身につければ、その差を埋められる可能性があります。
テストの問題を例にしても、学力の高い人と低い人の差は思考法(考え方)です。学力の高い人はどうすれば問題が解けるのかを知っているので、学習効率が高いといえます。
仕事においても思考法は、作業を組み立てるベースになります。身につけていれば、目的達成までの道筋が明確かつ、最短距離になります。
もし思考法が定まっていなければ、タスクごとに1から構築する必要があります。あらゆる選択肢の中から、毎回のように最適解を探すのは大変な作業です。
本書で紹介されている思考法は、僕ひとりでは辿り着けない情報ばかりだったので、衝撃的でした。
本書のポイント:思考を分析してマネしていく
本書を読むと「生産性の高い世界トップレベルのエンジニアの思考法」がわかります。著者も衝撃を受けたほどの思考法は、日本で働く僕らにとっても衝撃的であること間違いなしです。
僕が衝撃を受けたポイントをまとめました。
① 思考法はマネから始める
スキルの高い人の思考法を身につけるには、真似ることから始まります。著者は同僚のエンジニアたち観察し、行動や思考を真似たようです。
マネから始めた思考は、徐々に自分自身の習慣となり、スキルアップに繋がります。
会社の上司から仕事を教わるときは、作業だけでなく考え方も吸収するのがおすすめです。
② 少ない時間で価値を最大化する
トップレベルのエンジニアは、少ない時間で価値を最大化させることを重要視しています。タスクが発生したときに、優先度を明確にして「大事な1つに集中して、それ以外はやらない」という ”2-8の法則” に基づいた思考をしています。
全体の20%の要因が、80%の結果を生み出すという法則
例)全顧客の20%の優良顧客が売上の80%を生み出す
例)20%の重要な仕事が80%の大きな価値を生み出す
タスクの取捨選択を間違えないことが、高い生産性を生み出しています。長時間労働や多くのタスクをこなしているから、ということではないようです。
③ 情報を集めて仮説を立てる
プログラムでエラーが発生した時に、思いつきで手を動かしても非効率だということ。著者の実体験をもとに紹介されているので、イメージが明確になります。
本人はググったりコード修正で手を動かしているので ”やっているつもり” になりますが、客観的にみると時間と労力が無駄になっています。
起きている事象を整理して仮説を立て、ポイントを絞って検証することが重要。
僕はいまだに手ばかり動かしてしまうので、しっかり実践しなければいけません。
④ マルチタスクはNG
『生産性を高めるためにマルチタスクはやめましょう』とよく言われていますが、まさにコレです。
同時に2つ以上のタスクをこなすと、同時進行できてる錯覚に陥ります。しかし実際は、生産性に悪影響を及ぼすことがさまざまな研究で発表されています。
マルチタスクを行うことによる生産性の低下率は40%まで下がる。
ミシガン大学の研究
マルチタスクには大きくIQを下げる影響がある。
ロンドン大学の研究
マルチタスクは多くの作業を同時進行しているわけではなく、複数のタスクを瞬時に切り替えているだけ
マサチューセッツ工科大学の脳神経科学者のEarl Miller氏
メールやチャットで脳を切り替えるのは負担です。マイクロソフトでは、1日4時間は自分のタスクに集中するという方法を採用しています。
⑤ わからないことは頼る
エンジニア界隈では、「わからないことは自力で調べる」という風潮があります。しかし、マイクロソフトの思考法では、「わからないことはエキスパートに聞く」ことが重要とのこと。
知らない分野を自分だけで調べるよりも、詳しいエキスパートに質問した方が時短になるからです。数時間かけないと解決できないことでも、エキスパートに聞けば数分で解決できます。
凄腕のエキスパートに手間をかけさせるのは申し訳ないな。
・・・と思うかも知れませんが勘違いです。チームにとては、エキスパートに頼ってでも、あなたの問題を早く解決する方が良いです。
エキスパートは深く理解しているので、あなたの理解度にあわせて解説してくれます。
⑥ 学んだことをアウトプットする
新しく学んだ知識は、noteやブログにアウトプットするのがおすすめです。アウトプットするには、脳内の情報を整理しなければいけないので、より理解を深められます。
アウトプットするときは、メモレベルではなく、読んだ人がわかるレベルまで落とし込む必要があります。誰かに伝えるという視点で書かないと、アウトプットとしての価値はありません。
教えてもらったことを忘れると、何度も質問することになります。お互いの時間を無駄にしないためにもアウトプットは重要です。
エンジニアがZenやnoteで発信しているのは、アウトプットの重要性を知っているからですね。
アウトプットの重要性については、「結局、人生はアウトプットで決まる」でも推奨しています。
⑦ 自分の意見を伝える
他人のプログラムやコードをレビューするときは「自分の意見では・・・」と前置きして意見を伝えます。前置きがないと相手への反論として捉えられるリスクがあるからです。
あくまでも自分の意見として伝えるので、敵意がなく受け入れやすいです。相手を否定せずに意見交換が目的なので、価値のあるディスカッションになります。
日本人はディスカッションが苦手と言われますが、より良い仕事をしたり、生産性を高めるために身に付けたい思考法です。
「世界一流エンジニアの思考法」がおすすめな人
- 仕事がうまくいっていない人
- チームで仕事をしている人
- 部下がいる責任者
本書「世界一流エンジニアの思考法」は、上記に当てはまる方におすすめです。僕は30代のWebディレクター兼・チームの管理者という立場だったので、本書の内容がとても刺さりました。
紹介されている思考法は、Web系以外の仕事にも共通する点が多いです。いまの仕事がうまくいっていない人は、一度読んでみると良いでしょう。
また、僕のようにチームで仕事をしている人だと、生産性を高めるための思考のテンプレとして活用できます。あれこれと考えて混乱することがなくなります。
一度読んだだけで思考を身につけるのは難しいですが、自分ごとに置き換えて徐々に吸収したいですね。
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